2018/07/06
建物賃貸借においては、「使用目的」を定めることが通例です。
(例) 賃借人は、本物件を居住用のために使用し、他の用途には使用してはならない。
このような定めをおくのは、建物の形状・構造や法令上の制限に合致しない使用によって、建物自体に、あるいは賃貸人(所有者)に損害が発生するおそれがあるからです。
テナントとのトラブルを避けるため、賃貸借契約書を作る際には以下の点に留意してください。
(1)使用目的を明確に定める。
たとえば、単に「店舗」と定めた場合、衣料品店でも、生鮮食品店でも、パチンコ店でも、居酒屋でも当てはまることになります。
したがって、できるだけ具体的な使用目的を定めておいたほうが望ましいといえます。
(2)用法違反があった場合には、賃貸人が契約を解除できる旨を定める。
民法及び借地借家法ではこのことに関する定めがないので、債務不履行による解除(民法第541条)が認められるかどうかがポイントとなります。
この点について判例では、「建物に相当の損害を与える可能性があるか」という点が判断基準となっており、用法違反があっても契約解除までは認めなかったケースもあります。
とはいえ、用法違反によって損害が生じることは少なくないことから、やはり契約解除事由としておいたほうがよいと思います。